人脈づくりは苦手です

 私も研究者の端くれなので、いくつかの学会や研究会に所属し、定期的に集まりなどに参加をしている。そこで主に行われることは、各々の研究の発表とディスカッションだ。とても有意義で、大学で仕事している時の何倍も楽しい時間を過ごせる。昼間、学会のプログラムが終了すると、たいていは懇親会が準備されている。小さな研究会でも、終わったあとに飲み会みたいなのをやることは少なくない。

 正直、私はこの夜の集まりが苦痛だ。どうも酒の席というのは得意ではないのです。いくつかその理由を挙げてみようと思う。

 

【1.酒関係の問題】

 私は酔うのが苦手だ。酒の味は好きだが、すぐ頭痛がするので、グラス一杯をちびちび飲むのが好きなのだ。あまり酔いたくない、酔って「気持ちがいい」と感じたことは一度もないんですよ。んで、自分のペースで飲んでると「先生、飲んでね」とビールを注がれる。目上の先生とかだと断れない。仕方なく飲む(上手に断れるように練習中です)。

 また、酔っ払いも苦手だ。特に二次会。声がでかくなり、ハメを外していろいろ言ってしまう人がいるが、アレの対応が本当に苦手。仕舞いには、あまり酔ってない私に「もっと酔え」みたいなニュアンスで絡んでくる人もいる(大きな学会ではあまりないかな、小さい研究会とかで起こる出来事です)。「いいじゃないか、酒が入って本音で話せるのって大切なことだ」と言われることもあるが、素面で冷静に話し合えるほうがはるかに有益だと思う。

 

【2.つながり最優先マンの問題】

 院生時代の話。後輩に、やたらと人脈アピールをする奴がいた。私が「○○大の☓☓先生が△△関係の研究やってるよね」と言うと、「あー、☓☓先生この間懇親会で会ったけどすごい良い先生で。メールで質問したらすぐに返事くれて」と返ってくる。「いや、てめーのことを聞いてるわけじゃねーから」と内心イラッとしていた。SNS見てても、学会に参加して誰々と一緒です〜みたいな投稿ばっかり。何を学んだのかはシェアしない(できないのではなく、してないだけ、と思いたい)。

 この「つながり最優先マン(ウーマン)」が懇親会ではその実力を発揮する。謙りながら相手をヨイショしまくる。そら、接待なんだから多少はそういうのも必要だと思うよ。私も一切してないかというと嘘になる。でも、つながり作りが目的になって、本質的な部分(研究の話など)をじっくりやれていない会話は、本当に時間の無駄だと思う。ある研究会で私より少しだけキャリアの長い先生が「私の趣味は研究会。理由は人脈づくり」とキッパリ言ったのを見て、(それ、誇って言うことじゃないよね)と苦笑してしまった。

 テーブルに“つながり派”が多いと、会話の進行がこいつの独壇場になる。「私は○○先生に興味津々やねん」と言わんばかりに質問攻め。もっと、じっくりディスカッションをしたいのに…

 そしてさらに厄介なのは、この“つながり派”は、何かと私に忠告をしてくる。「顔売っといたほうがいいよ」みたいな。意味がわからんとこで話を振ってくることも。私の一番嫌いなやつです。なんで自分の正義を押し付けるかね? 指導教員や兄弟子ならのアドバイスならわかるけどさ。

 

 以上、理由を挙げてみたけど、結局「コミュ力のない奴がコミュ力のある奴を妬んでるだけ」みたいに思えてきた。まあ間違いではないんだけど。営業職とかやってる友人に聞いたら、接待ばっかりとかいう奴もいました。まだ恵まれてるのかも。